スリランカ中央部、多くの世界遺産を有する文化三角地帯に位置するミンネリヤ国立公園にはこの時期、世界中からの注目が集まります。
その理由は、セイロン島が生んだ奇跡「エレファント・ギャザリング」。読んで字の如く、スリランカ中央部に生息する野生の象たちが、乾季に水と草を求めて国立公園中央部にある古代の貯水池「ミンネリヤ・タンク」に集まってきます。立派な牙をたくわえたオスの象や、じゃれあう子象たちなど、わずか9平方キロ弱のこのエリアに集まるその総数はなんと最大400頭。数平方キロのエリアに300頭集まることもあり、一箇所に100頭以上の象たちがのんびりと草を食んだり、水浴びをしたりする姿は迫力満点です。
1700年前、乾季に備えて王によって造られた古代貯水池は、象たちにとっても乾季を生き延びる命の泉でした。南伝上座部仏教(いわゆる小乗)のスリランカでは、人間のための、そして王のための貯水池であっても、象や動物たちが水を飲みに来ることを排除しません。象たちはここに来れば、水や草があることを子供のときに母親から学び、1700年の間、何キロにも及ぶ道のりを代々伝えてきたのです。 そして貯水池がセイロン島各地に増えた現在でも最古の大貯水池であるミンネリヤ・タンクに水と水辺の豊かな草を求めて集まるのです。
エレファント・ギャザリングを見るには、午後から涼しくなってくる夕方がベス ト。サファリ専門のジープで、約1時間走り、乾季のため水が少なくなった貯水湖へと向かいます。その途中にも沢山の動物たちに出会います。乾季にここの集まるのは象だけではないのです。サンバー(水鹿)、猿、ヒョウ、ワニ、ミズオオトカ ゲ、リクガメ、孔雀をはじめとした160種類の鳥たちの群れ、78種の蝶々など、まさに動物たちの楽園です。ふと気づくと、どこからともなく多くの象が水を求めてやってきます。少し離れたところから象たちの水浴びや食事風景を眺めま しょう。ずっと見ていても全く飽きない光景です。
エレファント・ギャザリングは、アジア最大の象の大集結なだけではなく、アジ ア最大の野生動物大集結にもなっています。この壮大な光景に出合える期間は、乾季のシーズンの後半だけです。ぜひこの機会にスリランカの1700年の歴史が生んだ奇跡「エレファント・ギャザリング」を体感してみませんか?