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フィンガルの洞窟

Columnフィンガルの洞窟

   フィンガルの洞窟は、スコットランドのインナー・ヘブリディーズ諸島の無人島スタッファ島にある洞窟(海食洞)です。六角柱状の柱状節理が発達した玄武岩で形成されており、同じく古い溶岩流が発達した北アイルランドのジャイアンツ・コーズウェイの柱状節理と同じ構造のものです。柱状節理は高温の溶岩が冷える過程で、六角形の割れ目が生じるためにできます。溶岩が冷えて縮むにつれ、ひび割れが表面から徐々に溶岩内部に伸び、六角形の柱群を形成されます。そしてこれが後に波浪の浸食を受けて幾何学的に洞窟が形成された場所がフィンガルの洞窟です。

  その20mの大きさとアーチ状に曲がった天井、そして波音のこだまが鳴り響き生みだす不気味な音色は、天然の大聖堂のようで、古くは「歌の洞窟」と呼ばれていました。この洞窟が知られるようになったのは18世紀ですが、特に観光地として有名になったのは、作曲家メンデルスゾーンが1829年にこの地を訪れ、洞窟の中の不気味なこだまに霊感を得て、演奏会用序曲『ヘブリディーズ諸島(フィンガルの洞窟)』作品26を作曲してからです。作家のジュール・ヴェルヌ、ウォルター・スコット、詩人のワーズワース、キーツ、テニスンらも訪れ、画家ターナーは1832年に『スタッファ島、フィンガルの洞窟』を描きました。メンデルスゾーンと親交のあったヴィクトリア女王もこの地を訪れたといいいます。

 洞窟には大きな入り口があり海水が満ちていますが、小舟で入って行くことはできません。 夏季のみ、遊覧船が運航されて、島に上陸して陸路で洞窟まで歩いていけます。柱状節理が割れてできた岩棚が満潮位よりも上にあるため、ここを伝って徒歩で散策することができます。洞窟内からは水平線の彼方に浮かんだ聖地アイオナ島の景色が楽しめます。

 

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