【コラム】
ロスリン礼拝堂

【コラム】ロスリン礼拝堂

石は語る~ロスリン礼拝堂の秘蜜

聖マタイに捧げられたゴシック様式のロスリン礼拝堂は、ウィリアム・シンクレア伯爵によって1446年に建てられました。
スコットランドの首都エディンバラの南西約10kmに位置し、現在に至るまで世界中から多くの巡礼者が訪れています。

十字型の内陣中央に高い塔を戴き、シンプルな建築物ですが 未完のまま現在に至っています。 この礼拝堂を建てたウィリアム伯爵はシンクレア家で最後のオークニー伯をつとめる、代々ロスリンを受け継ぐ領主でした。 同時代の人々からは城、宮殿、教会建築の立案に優れた並外れた才能を持つ貴族だと評されていました。また彼はスコットランド全域の石工職人の後援者でもあり、1441年にはスコットランドの石工組をはじめとする様々なギルドのグランド・マスターに任命されています。

この礼拝堂の建築は丁寧に進められ、建設、設計、装飾については彼が独自のやり方で徹底的に決定権を行使しました。
礼拝堂の設計は、職人がまずオーク材に描き、それがウィリアム伯爵に承認されたのち、それをもとに石が切られました。
また彫刻も同様に一つ一つオーク材に下彫りをして、承認が得られれば石に彫られました。このように彼の厳しい監督は内部の一つ一つの装飾に至るまで行われたようです。

この礼拝堂には、他の中世の教会でも見られますが、植物に覆われた顔面像「グリーンマン」と呼ばれるケルト時代の豊穣の恵みのシンボルがなんと100以上も施されていたり、ロープで縛られ逆さ吊りにされたルシファー角の生えたモーゼテンプル騎士団のシンボルとして知られるパテ十字や、悪魔バフォメットフリーメーソンのシンボルとして表される定規とコンパス、目隠しをした男性像、そして五芒星、神秘主義思想の神ヘルメス・トリスメギストスなど非常に興味深い装飾に溢れています。
これほど珍しく、独特な装飾で覆われた教会は世界広しといえどもこのロスリン礼拝堂だけでしょう。


(ロスリンのグリーンマン)

そしてこの礼拝堂で最も重要で伝説としても有名なものが、礼拝堂主要部を区分する三本の柱、「親方の柱」、「一人前の職人の柱」、「徒弟の柱」です。

施主から柱の模型を受け取った石工の親方は、その技術とデザインがあまりにも見事だったため仕事に取り掛かるのをためらい、まずモデルとなった柱を見ようとローマ、あるいは近辺の国へ出かけました。
親方が海外へ行っている留守の間に、その柱を作ってみたいと考えていた徒弟は早速仕事に掛かり、文句なしの職人技を発揮して現在立っているこの柱を仕上げてしまいました。
戻ってきた親方はこれを見て嫉妬心にかられ、自分がいない間に誰がこの仕事を手がけたのかと尋ねました。そしてそれが自分の徒弟だとわかると激怒し、その場で彼を小槌で殴り殺してしまいました。

この奇妙な伝説の真偽のほどは定かではありませんが、徒弟の柱は「ソロモンの柱」とも呼ばれ、エルサレムのソロモン王が自身の神殿建設の際に棟梁ヒラムに建設させた渦を巻くようなデザインが元になっており、ここでもフリーメーソンとの関連性が注目に値するのではないでしょうか。


(徒弟の柱)

三本の柱のうちの親方の柱は「知恵」を、一人前の職人の柱は「力」を、徒弟の柱は「美」を象徴しています。
「知恵」が組み立てを、「力」が支えを、そして「美」が装飾を表しています。「知恵」は発見するため、「力」は耐えるため、「美」は心を惹きつけるためにあります。


(柱を見下ろす徒弟)

このように理想の基礎が三つに分かれているという考え方は、秘儀参入者にとっても非常に重要なものです。
この三本の素晴らしい柱についてはこれまで数多くの解釈がなされ、また高い関心が持たれてきました。この礼拝堂は石に秘められた秘密の精神的見識と知恵の上に築かれているという発想です。

スペインのサンチャゴ・デ・コンポステラへの巡礼は、各ヨーロッパ諸国からフランスを経由し、コンポステラを最終目的地とするのが一般的にキリスト教カトリックの巡礼路ですが、神秘主義者等によると、サンチャゴ・デ・コンポステラを出発し、トゥールーズ、オルレアン、シャルトル、パリのノートルダム、アミアン、そしてロスリンへと辿り着く道を「秘儀参入の巡礼」「錬金術師の巡礼」などと呼び、霊的な知恵を授かりそれを伝えていったといいます。

ケルトの時代、これらの土地はドルイド教の聖地で、惑星のお告げを授かりながらイベリア半島北西部からスコットランドまでの三日月形の「真の道」を巡礼していました。
その後、同じ土地に古代ローマ人が自分達の神殿を建て、またキリスト教もその成立後、同じ場所に教会や聖堂を建設しました。

これらの場所は古くから地球のエネルギーが強い場所で、人体に影響を与えていたとも考えられています。
中世の巡礼者はヨーロッパでのスーフィー学の中心地であるスペインと、フリーメーソンの思想の新たな活動拠点であるロスリン礼拝堂とをつなぐ、もうひとつの巡礼の旅をしていたようです。

 

ミステリアスなロスリン礼拝堂


(ロスリンのグリーンマン)

45年の歳月をかけて建てられたこの礼拝堂は、通常の教会では見られない装飾に溢れています。特に植物に覆われた顔面像「グリーンマン」と呼ばれるケルト時代の豊穣の恵みのシンボルがなんと100以上も施され、逆さ吊りにされたルシファー、角の生えたモーゼ、フリーメーソンのシンボルとして表わされる定規とコンパス天井を覆い尽くす五芒星などが多数、彫刻されています。

あまりに異端的であるため、何か通常とは異なった目的で建てられたのではないかと考えられていますが、現在でもはっきりとしたことはわかっていません。
ある研究家はこの礼拝堂を精神世界への入口であり出口であると考えているそうです。

さらにこの礼拝堂で多くの訪問者を惹きつけるものが美しい装飾の3本の柱です。
イスラエルのソロモン王が自身の神殿建設の際に、棟梁ヒラム・アビフに建設させた渦を巻くようなデザインが元になっているといわれていますが、この伝説の真偽のほども定かではありません。

百聞は一見に如かず。
是非、世界唯一ともいえるこの奇妙な世界を覗いてみてください。

 

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