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孔明の末裔が暮らす諸葛八卦村

Column孔明の末裔が暮らす諸葛八卦村

 浙江省の諸葛八卦村は、三国志で有名な諸葛孔明の末裔が建て、今も彼の子孫たちが暮らす村として知られています。村人は現在、約4000人、その8割が諸葛姓です。孔明の子孫が建てたとされる諸葛村は中国各地にありますが、その中で最大規模の村です。

 五行八卦の思想により建てられ、村の至る所にその知恵が生かされています。五行では、火・水・木・金・土という周囲の環境の力関係を勘案し、八卦については、8つの山に取り囲まれていること、8本の放射状の道路などに見て取れます。中央の池から広がるその8本の道が、繋がっていたり、行き止まりになっていたりして、そのような造りも八卦の文様そのままです。円形をした村の中は迷路になっていて、まるで映画「レッドクリフ」に出てくる円陣のようです。

 元々古い中国将棋にも使われる九宮八卦に従い構成された村なので、九宮八卦の陣を引いています。そのため、「諸葛八卦村」と呼ばれています。

 山に隠され、防御性の高い人工的な村のため、幾多の戦乱にも巻き込まれずに、村は古い佇まいを良く残しています。蒋介石の北伐や日中戦争の際も被害を受けませんでした。村には今なお明代、清代の建物が完璧な形で200以上残されています。

 村ができたのは14世紀、元の時代です。当時、諸葛一族が独特な地形のこの土地を買い取り、八卦に基づく村の建築計画を建て、そして現在に至るまでの600年間、当時と変わらずに村の形が保たれています。16世紀、明の時代には繁栄を極め、1000戸ほどの民家が建てられましたが、村の構造自体は全く変わりませんでした。主に安徽省徽州の様式で建てられているため、窓の小さい白壁に灰色の瓦屋根の建物が多く見られます。

 見所としては、諸葛一族の先祖を祀った祖廟「丞相祠堂」や諸葛家の集会場兼記念堂の「大公堂」がありますが、これらの建物は、諸葛孔明を先祖に持つ一族の誇りを子孫代々に意識させるためだとされています。この誇りが、先祖が創案した村の構造を600年にわたり代えずに維持してきた原動力になっています。

 丞相祠堂ではおみくじも引けます。当たるも八卦、当たらぬも八卦の本家?でお試しください。そして、八卦餅が村の名物です。